私は受付嬢と目を合わせ、頷きあった。
勝手に友情が芽生えていた。
しかし、その隙に仁と香織さんは、姿を消していた。
廊下に足音が響く。
追いかければ捕まえられるけど、追いかける気にはならない。
私達が頑張れば頑張るほど、あの2人の愛を燃え上がらせるだけのような気がする。
2人の愛を大きくする材料になってしまうのは嫌だ。
「このままでいいんですか?」
受付嬢は、眉をひそめて言った。
「いいわけないでしょ」
私も受付嬢も、完全に酔っていた。
この状況に。
「私に任せてください。手伝いますから、復讐しましょう!」
彼女は、香織さんの会社を知っていると言った。
そこへ行き、婚約者を奪われたことを暴露しようと言い出した。
私はそこまでする気はなかった。
でも、気付いたら……
頷いていた。