酔った勢いでしか抱けなかった自分を情けなく思うけど。
恵理の気持ちがわからないから、俺は酔ったフリをして一歩踏み出した。
俺を好きでいてくれているようにも思うし、そうじゃない気もする。
俺は女心はよくわかっているつもりだったけど、そうでもないらしい。
惚れた相手の気持ちはさっぱり読めない。
目覚めた恵理は、あっけらかんとした態度だった。
「昨夜の出来事は、お酒のいたずらってことで」
え?
何それ?
それは普通、男が言うセリフだろ?
しかも、俺はそんな風に思ってねぇし。
甘えることもなく、一緒に朝食を食べることもなく、すたこらさっさと俺の家を出た。