-雅也目線-
深夜2時の居酒屋。
「雅也さん、もう帰りますよ」
俺の肩を揺するのは、恵理。
俺の元彼女、香織の後輩。
別れても引きずっていた俺は、香織との接点を失くしたくない一心で、恵理と連絡を取っていた。
どういうわけか、恵理は俺が誘うと100%ついてくる。
恵理には悪いが、俺の中ではすっかり「都合のいい女」になっていた。
恵理と飲んでいると、香織から恵理に電話がかかってくることもあり、俺はそれが嬉しかった。
まだ繋がっていると感じられた。
と言っても、俺はバカな男。
香織を引きずりつつも、コンパばかり行って、相変わらず一夜だけの関係を繰り返す。
早く、こんな俺から卒業したい。
でも、この寂しさを癒してくれるのは香織以外いない。
香織を失ったのは俺のせい。
自業自得なんだけど。