「今日はどうだった?」
コートを脱いだ私は、仁が注いでくれたお茶を飲む。
「疲れた。でも良い演奏会だった」
仁は、それは良かったねと言い、ソファに腰掛けた。
会うのは久しぶりだった。
最近は、1ヶ月に数回会うくらいで、それなのに会った瞬間に抱き合うような雰囲気でもない。
「髪、伸びてるわね」
私はソファに腰かけ、仁の少し伸びた髪に触れた。
「そうか?」
近くで見れば見るほど、整った美形の顔。
この顔を見ているだけで癒されるのは確かなんだ。
この顔とこの声。
会うと、仁の魅力を再確認する。
「好きよ」
仁の首の後ろに手を回し、キスをした。
私と仁は久しぶりの再会なのに、たいした会話もせずにベッドに入った。