-由美子目線- 「お疲れさま」 仕事から帰った私に、優しい笑顔を向ける人。 婚約者の瀬名仁ノ介。 優秀な外科医。 クリスマスの演奏会でしばらく家に帰っていなかった私。 家で待ってくれていた彼。 「ありがとう。仁」 クリーム色のタートルネックのセーターに、茶色のパンツ。 穏やかな笑顔を浮かべ、私のスーツケースを軽々と持つ。