私が、中へ入ると、



「そこへ腰かけて下さい。」



私が座ると、先生は難しそうな顔をしながら、



「本当は、もう少し治療をしたいのですが、お母さんからの要望もありまして、今日で退院という事にします。」



「はい!ありがとうごさいます!」



私は、元気よく答えた。


これで、囚人のような生活とはおさらばだ。



すると、先生は付け加えた。



「ただし、通院だけはしっかりして下さいよ。」



「はい。」



「それでは、退院手続きをして、帰っていいですよ。」



「ありがとうございました!」



本当に退院できた。



健に逢える!



私は、大急ぎで部屋に戻ると、整理した荷物を持って、詰め所まで行った。



郁も、荷物持ちで付いて来てくれた。