「え、いや、別に?」





明らかに不審な行動だし、返事も曖昧な俺に対して美桜は





「そっか」





って短く答えて





「じゃぁ嫌なことはクレープ食べて忘れよ!」





ってそれ以上は追求してこない。



俺は美桜のこういうところがいいと思う。



話したく無い、侵して欲しくない領域に線を引けば入ってこない。



そいつが言うまで待とうとすんだ。



こういう微妙な駆け引きで、俺と美桜の関係は成り立ってんだと思う。






「裕太くん、はい」





場所取りをしてた俺に、朱里がクレープを差し出す。



ここで美桜じゃなくて朱里ってのが、

美桜が朱里のこと好きっていう俺に協力してくれてるとこ。



まぁ今は岸本いるし美桜が岸本に持ってって、

あまりもんの俺に朱里が持ってきてくれてるだけかもだけど。



でも3人のときも大体朱里が持ってきてくれてたし。



多分美桜が気を使ってくれてたんだと思う。