「香澄ちゃんの父親。

お前は覚えていないか?」

「いいや。
あまり覚えていない。」

「そうか。
まあ今度ゆっくり教える。

香澄ちゃんが本気で
太郎の事を全て受け入れる時に
話をしようかな。」

「そんなに複雑なのか?
香澄の父親って。」

「別にそうではないよ。
香澄ちゃんを
お前の嫁にって思っていたのは
香澄ちゃんの両親も思っていた。
お前が本気で香澄ちゃんを好きなら」

「何だ!!
本気って何かあるのか?」

「いいや。
実は片岡信二って
覚えているか?」

「ああ。覚えている。
娘の麗子が大学同じだったし、
付き合ってはいたが別れたぞ。
きちんと。」

「麗子さんを嫁にしてもらえないか?
と言ってきたんだ。
俺は断った。

お前の嫁には香澄ちゃんしか
考えていなかったから。」