・太郎サイド・

家に帰ると、
香澄は出て行っていた。

直ぐに祖父母達が、
迎えに来ていた。

オヤジも母親も従業員たちも
静かだった。

俺は自分の部屋に行くと
香澄にあげた指輪が、
置いてあった。

【指輪は置いていきます。

持っていると太郎を
忘れる事が出来ません。

もしも私が帰ってきたら、

その時。
その指輪をつけてください。

太郎愛していました。】

と書かれていた。

俺は指輪を持って泣いた。
大泣きをした。

誰に聞かれてもいい。

俺は香澄を手放してしまった。

自分の手で手放してしまって
後悔をした。