香澄が意識を取り戻した。

「たろう・・・・。」と
俺は香澄を抱きしめた。

香澄は、
子供の様に泣き出した。
もういくら泣いても構わない。

「麗子。
お前は親父さんのおかげで
何不自由なく育ってきた。
けど香澄は早くに父親を亡くし
母親も病気で亡くした。

だから彼女は泣きたいのも、
我慢をしていたはず。

だから俺が助けたいのだ。

こんな体でも抵抗はしたはず。
俺は彼女の持っている意志と
優しさに惚れた。
お前にはない優しさをな。」

俺は力強く香澄を抱きしめた。
香澄も俺の背中に腕をまわした。