「香澄====!!」

声が聞こえた。
振り向くと太郎だった。

「麗子!!
お前なんで呼び出したんだ。」

「違うの太郎。
呼び出したのは私。
麗子さんと1回
本気で会わないと
太郎を奪われてしまうの。」

「奪われるって。
俺の心は香澄しかない!!
こんな女に奪われる俺じゃない」

「分かっている。
けど怖かった。

記憶を失くした時でも、
麗子さんが太郎の心の隙間に、
入ってきて奪うと思ったの。

それだけ太郎を好きに
なっていたの。」

「香澄。それよりお前その手」

太郎は私の手に握られている
ナイフにビックリした。

「今日のところはこれで帰るわ。

香澄さん。
これで終わったとは思わないで。

太郎は必ず私が奪う。
どんな手を使っても。」

「麗子。
これだけは聞け!!
俺の体も心も香澄しか無理だ。」

麗子さんは何も言わずに、
帰っていった。