『つ…翼っ…』


『ばかぢゃん、何泣いてんだよっ』


『起きた…の?』


『んあ。俺バイクで事故ってさぁ…マヂ痛ぇ』


『良かった…本当に…』


『何、もしかして俺が死ぬとか思ったぁ?』


『お、思う訳ないぢゃんっ…不死身なんでしょ?』


『あたりめぇだろ?』


『……』


『でも…ちょっとやばかった。』


『…え?』


『三途の川…みてぇなトコまで言ってさ…』







翼は深呼吸してから

静かに話し出した





『川の向こうにララがいてさ。

危ねぇから助けようとしたら、ギャンギャン吠えてやがってさ…


俺にさ、「こっち来るな」って言うんだよ。


犬の言葉なんてわかる訳ねぇのに…変だよな


で、後ろ振り向いてみたらずっと遠くの方でお前が泣いてんの


その時はじめて、「あぁ、俺、三途の川にいんだ」って気付いてさ。


多分、ララが俺に教えてくれたんだ


川を渡るな、葵んとこ帰れっ…て。』





『…そう…だったんだ…』