初めて恋をしたというのに。
この恋は間違っていたの?
俺に背を向けて、歩いている美加に向かって問い詰めた。
だけど返事なんてそんなものなどない。

染めたてであろう、ミルクティのような甘い色をした髪の毛をゆらゆらと靡かせながら、美加は俺の前から姿を消す。

春の朝は妙に心地がよい。
寒かった冬からようやく解放されたような、開放感が、俺の体全体で感じられる。


ふと、あることに気がついた。
俺の目から液体が流れているということに。

無意識のうちに流れていた涙は、どことなくしょっぱく、どことなく温かい。


『…さよなら…』


桜の花びらが散るように、俺の恋心も儚く散っていく。

唇をぎゅっと噛み締めて、涙の速度を速くした。

立ち止まって涙を流す俺を見た通行人が、二、三度振り返り見ていく。


そんな見ものじゃないですよ?


こう目で訴えても、世間はそれが面白いのだ。