ひらひらと桜の花びらが散るように、俺の恋も散っていく。

花びらはハートによく似ている。
俺のハートのようだ。


『…そっか…』


俺は苦笑いを浮かべ、ポケットからあるものを取り出した。
それは太陽の光に反射して、とても眩しかった。
俺が取り出したものとは、ハートの片割れのネックレスだ。
美加とペアで、2つのネックレスを合わせれば、ひとつのハートになるというもの。


こんなものあっても必要ないよ。


『…これ、返す。俺いらねぇし』


『うん…』


美加は俺の手からネックレスを取り、ぎゅっと握った。


『捨てていいから』


この時俺は自分の虚しさに腹が立った。
なぜなにも言えない?
なぜ、嫌だの一言が言えない?


俺はただ身を引くことしか出来ないんだ。

だって、不器用だから。


『分かった…雅ごめんね?今までありがとう…』


美加はこう言って足早に俺の前から去って行った。


坂井雅の初恋は、呆気なく終わりを告げた─…