手から落ちていくシャープペンシル。
左利きの俺からシャープペンシルがするっと抜けて、当然のように左側に落ちる。
この時少しだけ右利きが良かったと思った。

シャープペンシルは床の反動で一、二回弾み、コロコロと美羽の席の方に転がって行った。


『あ…』


俺はマヌケのような声を出して、シャープペンシルを見る。
ここからじゃ取れそうにもないな…と考えていたら、それを拾い上げる細くて色白な手。
それはキミの手。


美羽がシャープペンシルを拾い、何も言わずに俺に渡してきた。

俺はどうしようかと躊躇って、首を縦に振り、美羽の細い手からシャープペンシルを受け取った。

一瞬だけ…世界が止まった気がした─…


あの約束をしてから1日。
俺は思った。
このままでは一週間も保たないだろうって。


だってほら…
体が反応をしている。


どくん、どくん。


だってほら…
熱い感情が湧き上がっている。