今日もきっと普通に過ぎていくのだ。


隣を見ると、美羽の席はいつもと同じように空席。
でもカバンはある。
ということは、屋上にいるということ。


気にしてはダメだと頭の中では分かっているのに、気にして隣を見てしまう俺がいた。
俺は自分に言い聞かせるように、首を横に振る。

ちょうどその頃、チャイムが鳴り、一斉に立っていた生徒たちが自分の席へと座り出した。
そして空席だった隣に、美羽が現れ、当たり前のように座る。


本当は…言いたかった。『おはよう』って…
言いたかったよ─…


でも昨日言った約束を1日も守れないのか…って思われたくなくて、込み上げてくる『おはよう』を必死に飲み込んだ。


極力、授業中も美羽を見ないようにしていた。
そんな態度にしたって、自分の気持ちは膨らんでいくばかり。


そんなこと、この俺が一番分かっているよ。


でも…無理なんだよ…



その時だった…

俺の手からきっかけを生んでしまったのは…