『別に恥ずかしがることねぇし。…俺だってそうなるんだからよ』


徐々に小さくなっていく美月の声。
俺は最後の最後まで聞き逃さなかった。
足で美月の頭を殴り、
『聞かせろよ』と言うと美月は顔を真っ赤にして、俺の足を抓る。


『言うかよ、ばーか!!』


赤面したまま美月は立ち上がり、舌を出した。
そんな美月は可愛くて、やはり憎めない存在なのだと把握する。

舌打ちをして、愚痴を吐いて、出ていく弟の背中に向けて俺は最後に質問をする。



『なぁ、美月…恋って永遠に続くものなのかな?』


美月はゆっくりと振り返り、白い歯を見せて笑う。
そしてこう…呟いた。






『ひとつの恋が終わるときは、その恋を自分が忘れたときだ…』




…そうか。
そうなんだ─…


ひとつの恋が終わっても…まだその恋は生き続ける。
でもその恋を忘れて、新しい恋に進んだら…
生き続けた恋は終止符を打つのだ…



美羽の恋は、
いつ終止符を打つ…?