俺は人より馬鹿だし、
人よりお節介をする。

頭で考えるより先に言葉として出てしまう俺は、こんなことを言ってしまうんだ。

ワザと。偽りの言葉を。

それを聞いた美羽は、
顔色一つ変えずに、
『そう。分かった』と納得して、また俺に背を向けて歩き出した。


遠くなる二人の距離。


美羽?
もし俺がこの時キミを追いかけていたら、もう少し気持ちは早く繋がっていたかな─…?



闇に消える美羽を確認して、再び歩き出す。
乾いたはずの涙が、また俺の頬を伝っていく。


美羽にとって俺がいない方が幸せになれるはずだ。きっと。
美羽は陸の還りを望んでいるはずだから。


この勝手な思い込みで、俺はまた苦しめられるんだ…



夜が来る。
暗くて寂しい夜が。
こんな夜が寂しいと思ったのは初めてかもしれない。


夕飯もまともに喉を通らないであろう。
未だに苦しい…

部屋を暗くして、
一人ベッドの上で体を丸めて孤独さに襲われていた。