新たに浮上する疑問。
俺はそれを心の中にしまった。


ベンチに戻り、腰を下ろす。
そして寝転んで空を見上げた。
やはり、部屋の天井に貼ってある空が一番綺麗だ。
もう空には月が顔を出していて、その月の色がまた不気味なのだ。
鮮やかな黄色ではない。どす黒い黄色の円。
こんな月、あまり見たことがない。
星は今日は出ていなくて…だから不気味に思うのかな?


俺はしばらくそんな空を見つめていた。
不安が募る。
本当に陸を超えるのかなって。
春には自信たっぷりに言ってしまったが、本当のところ、不安で仕方なかったのだ。


目を閉じてよく考える。真っ暗な視界。
周りから何も音が聞こえてこない。


美羽の過去を知りたい…

再び目を開けると、
当然視界に写るのはさっきまで眺めていた空だけだと思っていたが、それだけではなかった。


視界に写ったのは、
俺の顔をあしらうように見つめる、美羽の姿だった─…




『こんな場所で何してんのよ?』