時間だけが進む。
春と俺の間にはしばらく会話がなかった。
春に無理をさせてしまった。


『春、ごめん…』


『別に…いずれ分かることだったから』


春は手で涙を拭き取り『帰る』と言って、俺の隣から姿を消した。
俺は春の背中を見つめ、あることを思い出して、カバンの中から紙とペンを取り出す。
自分の携帯番号を紙に書いて、春の背中を目指す。


『これ…俺の番号!!
辛いの溜めんな。俺が話し聞いてやる。美羽の過去とか陸のこととか全部受け止めるから!!』


春に無理矢理、紙切れを押し付けて、渡した。
春は最後にふっと笑ってその紙切れを握りしめ、俺の前から姿を消した。

…受け止めるよ。
陸のこととか…
美羽のこととか。


受け止めなければ、
先に進めないような気がしたんだ。


─…もうすぐ美羽の嫌いな季節がやってくる…─


陸が居なくなった日…
それは美羽の誕生日…


去年のこの日─…
二人には何があったのだろう?