ここで帰らすにはいかない。
もし聞かずに帰ったら、きっとぐっすり寝れないだろう。


『言えよ。気になるだろ?』


春は俺の両手を離し、もう一度ベンチに座る。
諦めたのだろう。
そんな春の姿にホッとし、俺も座った。



『陸は…去年死んだんだ。もうすぐやってくる季節に。美羽はそれを恐れている…』


亡くなった理由は聞かないでおこう。
今は違うことに衝撃を受けていたから。
美羽は恐れている。
陸が死んだ季節を─…。


『なんで…?別に怖がる必要なんかないだろ?』

ふと春を見ると、春の肩が若干震えていた。
話すことに無理をさしているのだろうか?


『陸が死んだ日がダメなんだ…それが美羽を怖がらせてる…』



陸が死んだ日…
また気になることを言う春…
何で?
その日はなにがあったの?


『何で…?』




去年陸が死んだ日─…
それは──…



『…美羽の誕生日だからだ…』





キミの生まれた日…