俺の話を聞いてくれるのか?
そう思うと嬉しさが込み上げてくる。
春の背中を見て、俺は微笑んだ。


『ここでいいか?』


急に足を止めて、春はくるりと振り返る。
春が指をさしていた場所は、この前俺達が初めて話した、あの公園だった。


俺は迷うことなく『うん』と言う。
最後に、この場所に来てまだ少ししか経っていないのに、どこか懐かしく感じる。

俺と春はこの前と同じベンチに座り、肩を並べる。


木と木から覗く空が、
まだ暗くて…悲しそうだ。


『…で?なに?話って』

『あ、えっと…』



何から話していいか分からなくなってしまう。
さっきまで頭の中に描いていたのに、急に真っ白に変わってしまったのだ。
俺は手をぎゅっと握り、呼吸を整える。
いざ、知り合いに気持ちを伝えるとなると、緊張しておかしくなりそうだ。

唸る心臓を抱えて、ゆっくりと口を開く。




『俺、美羽が好きになっちゃった…』