今にも雨が降りそうな空の下で、俺は春を待つ。春も俺に気づき、少しだけ悲しそうな表情を見せて近寄ってくる。


『何か用?お前目立つから恥ずかしいんだけど』


春はそこまで身長は低くない。
というか高い方に入るだろう。
俺を少しだけ見上げてこう言う。
確かにさっきからどこからか視線を感じていたが、気にも止めないでいた。
きっと違う学校のヤツがこんなところに来ていて驚いているのだろう。


『あ、ごめん!でも話がしたくって!!』


春は俺の話を無視をするかのように、さっさと歩きだす。
負けじと俺も春を追う。他人から見たら変な光景。
そんなのどうでも良かった。
早く、この張り裂けそうな想いを聞いて欲しいから…



『春!どこ行くんだよ!』


『…静かに話せるとこ』

小さな声でこう言う春。春は黙ったままただ歩いていた。
どうやら静かに話せる場所を探してくれていたようだ。