時計を見るとヒカルの言った通り、帰宅する時間だった。
俺はあることを思い出す。


『そうだ!!春のとこに行かなくちゃ!!』


慌てて帰る支度をして、ヒカルを置いて教室を飛び出す。


『は?雅ー!?』


驚いたヒカルの声が遠くから聞こえる。
だけどそんな声は届くはずがない。
春に会いにいくと決めたのに…何で寝てるんだよ!俺!と、自分を責めながら足を動かす。

春の学校はここから差ほど遠くない。
バスで一つ進んだ場所にある。
バス停に行くと、ちょうどバスが来ていて、無事乗れた。

揺れるバスを乗ること数分。
春と同じ制服を着ている生徒たちが沢山見られる。
懐かしく感じる学ラン姿。
また着たいと心が弾む。

バスを降り、校門の前に立つ。
生徒たちからの視線が痛いが、俺は我慢をして待っていた。


すると校舎から俯いて、男の子っぽいオーラを出して歩いてくる、セーラー服姿の少女。
間違いなく春だろう。


俺は学校の敷地に一歩足を踏み入れて、春の名前を呼ぶ。



『春…』


『雅…?』




俺の気持ち…聞いてくれないか?