空には雲一つなく月が輝いている。
「今日は満月か…」
オレはバイト先のバーの裏口を出かけ、空を見上げた。
漆黒にぽっかりと浮かぶ月がそこにあった。
「手に入れられそうなんだけどなぁ…」
月に手を翳して掴む真似をする。
だが、その手には何の感触もなく、ただ空を掴むばかり。
俺はその手を見つめ、ため息をつく。
「帰るか…」
もう一度月を見上げ、店を後にした。