はぁ…とため息をつきながら
家へと戻った
一人静かな部屋で
お母さんに電話を掛けた
「…もしもし、お母さん?」
「あら美鈴、どうしたの?」
「私…私、妊娠した…」
「…………そう、仁くんの子なのね」
悲しそうに、でもどこか安心したような声だった
「うん…生んでも、いい?」
「仁くんに相談したの?」
「言ってない。…仁の迷惑になっちゃう」
「…生みたいなら生みなさい。
お母さんもお父さんも出来る限り
協力してあげるから。でもね、」
「でも?」
「その子に父親のことをどう説明するの?」
「……」
「大きくなってからとか、
学校のときとかは?」
「……」
「ちゃんと仁くんに相談しなさい。
彼なら喜んであなたを受け止めてくれるはずよ」
お母さんはそう言って
電話を切った