「ただいま〜」
 家の中に入ると、お母さんの楽しそうな笑い声と、陸先輩の声が聞こえてきた。
 それプラス、いいニオイ。ご飯作ってるのかな?

「嫌な予感がするな……」
 陸先輩とお母さん何話してるんだろ?ていうか……仲良くなるの早い……。

 キッチンに入ると、お母さんがいると思ってたキッチンに陸先輩がエプロンつけて立ってて、お母さんが座ってた。
「……何やってるんだ?」
「おかえり〜蓮音ちゃん、飛夜」
「あら、おかえりなさい」

 お母さんの前にはおいしそうなオムライス。何がどうなってるんだろ…?
「お母さん…?」
「蓮音、陸君とっても凄いわよ!このオムライス、ふわふわよ!」

 確かに……お店のオムライスみたい……。って、陸先輩が!?

「お前、こんな特技もってたんだな……」
「飛夜…勝負!」
「するわけないだろ」

 お兄ちゃんも上手かったよね……料理。その才能わけて欲しい!
「蓮音ちゃん、すぐ作るから」「あ、はい」
 なんか……私、女でいいのかな?
 料理……私が作れるのは、簡単なものだもんなぁ。あ、お菓子作るのは得意っていうか、好きだけどね。
「飛夜〜オレジュー」
「何だよ、オレジューって……」
「オレンジジュースの略に決まってんじゃん。ね、蓮音ちゃん」
 ……言わないけどなぁ。
 陸先輩はお兄ちゃんからオレンジジュースを奪うようにとると、コップに注いで飲み始めた。
 オレンジ色の液体を飲む陸先輩はなんだか違和感がある。
「蓮音ちゃんも飲む?オレジュー」
 オレジュー……陸先輩語?
 私はそんなことを考えながら首を横に振って遠慮すると、冷蔵庫に向かった。