無言のまま歩いてる私と亮先輩。……そんなに陸先輩が嫌いなのかな?
 嫌いってことはないよね、多分。

「あら?蓮音さん」
 後ろから声がし、振り向くと梨子先輩がいた。
「あ、こんにちは!」
「こんにちは、って……悪そうな人がいると思えば亮じゃない」

 なんかコワイオーラが2人から出てる!
 亮先輩はゆっくりと振り向いて梨子先輩を睨んだ。
「なんだよ?」
 火花が見える。道端でケンカ勃発!?

「人掠いでもやろうとしたのかしら?拉致?」
「ぁあ?お前こそ逆ナンしにきたんじゃないのかよ?」

 ヒィー!どうしよう?コワイけど……放っておけないし……。かと言って、どうにもできないよ!
 私が間に入ったって……止められない。

「何やってるんだ?蓮音」
 泣きそうな私に救世主が。聞こえた声に私は安心し声の主を見た。

「お兄ちゃん!」
 何でお兄ちゃんがいるのかって疑問はとりあえず考えない。

「あの2人はしょっちゅうああだから気にするな」
 気にするなと言われても……気になるよ!

「ケンカするほど仲がいいの典型だからな」
 お兄ちゃんの優しい笑顔に思わず抱き着きそうになったけど、やめた。

 だって……後になってものすごく恥ずかしくなって、ちょっと気まずくなるの嫌だから。

 お兄ちゃんは全然、何にも気にしないで私をなだめてくれる。きっと。
 私はいっだって、お兄ちゃんにとったら手のかかる妹だもん。

 でも、私は越えたらいけない境界には絶対近付かない。何メートルも離れる。

 私とお兄ちゃんが離れない為の条件ーー。