私はさっきの光景を頭から取っ払うため、走って走って走り続けた！
　とまぁ冗談で、ちょっと走って疲れた。

　別に、キスシーンなんて…ね？普通……じゃなーい！

　どうせ私なんて、彼氏いない歴十五年記録更新中だもん。
　今年で十六年……十六歳って結婚できるじゃん！
　そこは虚しいだけだから置いといて……。
　ドラマのキスシーンと現実じゃ……ぜんぜん違うよね。
　あの人誰なんだろ？カッコ良かったような……。会いたくはないけど。恥ずかしいから。

　いろいろ考えながら角を曲がると、不注意のせいで人にぶつかった。
｢ごめんなさい！｣
　と、上を見上げると……無駄に整った顔。
｢お兄ちゃん！｣
｢蓮音、母さんたちが探してたぞ？……迷子か？｣
　た……確かに迷子になりかけたけど、いつかはお母さんたちのトコにたどり着けたかもしれないもん！
｢迷子じゃないよ！ただ迷っただけ！｣
｢迷子だろ。……てそんなことはどうでもいいんだ｣

　何か……ムッとする。どうでもよくないもん！