全く知らない人に抱き着いたりはしないだろうけどさ。
 それは変質者だよね……。

 抱き着かれた子はビックリだよ。

「早く戻るぞ!」
「いいじゃん、ね?」

 ね?って言われてもなぁ……。私的には……どっちでもいいんだけど……。
 どっちか絶対って言われたら……うーん……。

「何か……嫌そうな顔!キョウダイしてひどっ!」
「いえ!そんなこと無いですよ……」

 あ、思わず目そらしちゃった……。

「目……目……!目は……鼻ほどにモノを言う」
「口じゃないのか?」
「そうだっけ?」

 陸先輩って……おもしろい人だよね。お兄ちゃんといいコンビ。

「ほら、歩け!」

 陸先輩がお兄ちゃんの弟みたい。
 お兄ちゃんも大変だなぁ……。

「じゃあ、またね〜」

 お兄ちゃんに引きずられながら部屋を出ていく。

 嵐が去った……。
 にぎやかなのは嫌いじゃないけどさ……なんかね……陸先輩が苦手っていうかさ……。

 優しいとは思うよ。
 でもね……軽い人に慣れてないっていうか……。

 お兄ちゃんって結構真面目だからさ。
 周りにいた男の子だって陸先輩みたいに軽くないもん。

 でも、軽いけど……何か違う雰囲気っていうか……うーん……ふざけてるけど演技みたいな感じ。

 演技ではないと思うけど。

 だって……毎日演技とかエライもんね。