「陸!」

 声と一緒にドアが開いて、お兄ちゃんが入ってきた。
 助かった!……別に何にもないけどね。あのままだったら……またからかわれるとこだったと思う。

「人の家をうろうろするな」
「飛夜かまってくんないじゃん!」

 ブーブー口を尖らせながら言う陸先輩。
「気色悪い!戻るぞ」

 お兄ちゃんと陸先輩って見てるとおもしろいなぁ。
 見てるだけならね。

「蓮音ちゃん!」
「はい!?」

 私は傍観者でいいのに……というか、関わらずに傍観者で居たい。

「飛夜がヒドイー」

 そう言って私に抱き着く陸先輩。
 私にどうしろって言ってるんだろ?お兄ちゃんがヒドイのは昔からだから直しようが無いけど……。

 それより……離して欲しいなぁ。

「あの〜離して下さい!」
「蓮音ちゃんって……抱き着かれたらすぐに叫ぶタイプだと思ってた」

 なんか色々考えてたから忘れてた……のかな?叫ぶほどのことじゃ無いよね。

「以外と男慣れしてるんだ……」

 はぃ!?ちょ……私、彼氏いない歴十六年まだまだ更新中だよ!

「男兄弟がいる子はこんなもんですよ!」
「凜歌ちゃんには吹っ飛ばされたよ」
 凜歌に抱き着くって……凄い勇気だよ……。

 さすが陸先輩。

 でも、色んな人に抱き着くって……変態じゃないかなぁ……。