行った先はお父さんとお母さんの部屋だった。
 久しぶりに入ったかも。

 部屋に入ると、ベッドの横の引き出しから何か薄っぺらい物を出して私に見せた。

「これ……誰?」

 お母さんが差し出した写真には、赤ちゃんと親だと思われる男女。
 幸せそうな笑顔。

「飛夜と両親よ」

 ……え?
 お母さんの顔を見ると、私に微笑んだ。
「飛夜は私の友だちの子なの」

 お兄ちゃんが……。
 本当のお母さんかお父さんのどっちかソウトー頭良いのかな?

 2人とも物凄く美人さんだ。こんなに顔の整った親から生まれたんだから、お兄ちゃんのあの顔も納得。

「父親は医者で母親は弁護士なの」

 あー頭良いのも納得だ!
 でも、どうして環境的にも恵まれてるのにお兄ちゃんを……?

「あの二人に子育ては無理だったのよねぇ。……二人とも忙しいくせに、他人に飛夜を預けたく無かったのよ」

 自分の子どもだもんね……極端だとは思うけど。
「仕事と育児に挟まれて……お母さんの方がノイローゼ気味になってね……一回幼い飛夜を叩いたの」

 虐待……。
 一回でも……虐待したことには変わりは無い。

 お兄ちゃん……私が生まれる前にそんなことがあったんだ……。