「あれ?ここの写真が無い」
 赤ちゃんの時の寝てる写真の隣が消えてる。このアルバムはお兄ちゃん専用だからあんまり見たこと無いんだよね……。
 小さくコメントみたいなのが書かれてる。

「飛夜とお父さんとお母さん……?」
 そう言えば……どっちがお父さんとお母さんの子どもなんだろ?
 ……私も似てないし、お兄ちゃんも似てないから……。
 今まで考えたことも無かったなぁ。

 たぶん重大なことだけど、別に気にならないもんね。
 正確には、気付くまで気にならない。

「あ、ここも無い」
「ホントですね。……お母さんと……?」
 お父さんとかお母さんとの写真が無いのって……何で?

「何やってるんだ?」
「飛夜の幼少時代を覗き見」

 てっきり聞くかと思って身構えちゃったよ……。
 陸先輩は私たちのこと分かってくれてるから言わないよね。


「じゃあ私もう行くね。陸先輩、ゆっくりしていって下さい」

 私は自分の部屋に戻るとベッドに倒れ込んだ。
 一回気になると、とことん気になる。

 私がお母さんたちの子どもじゃなくても、お兄ちゃんがそうじゃなくても……そうなんだ、程度で終わると思う。
 ……でも、理由はなんだろ?

 捨てられた……?