私ってばナイスタイミング。
 お茶のためのお湯を沸かして、皿にこの前お母さんがお土産で買ってきたクッキーを並べた。

 入って、あいさつして、すぐに出れば……完璧!
 別に会うのがイヤだってわけじゃないよ?居てもしかたないでしょ。

 それより、私ってけっこう頭良いかも。
 持ってけばあいさつ出来るって思いついたなんて……お兄ちゃんにバカなんて言わせないんだから!

 私だって日々成長してるんだもんね!

「蓮音」
「ぁ、え!?な……なに?」

 いきなりお兄ちゃん登場。
 ……タイミング良すぎる!エスパー!?
 声が裏返っちゃったよ!

「何、驚いてんだ?」
「な、なんでもないよ!それよりどうしたの?

 動揺しているのがバレないように、お兄ちゃんに背を向ける。
 イヤに鋭いんだもん。

「陸はコーヒーがいいらしい」
「はーい。お兄ちゃんは?」
「お茶でいい」

 そう言うとイスに座って、ため息をつきながら、置いてあった新聞に目を通す。
 ……陸先輩を放っといていいのかな?というか……戻らないの?

 陸先輩1人にしちゃダメだと思う。

 友だちがせっかく来てるのに、放っといちゃダメだよね。