階下に下りて行くと、お兄ちゃんがソファーに座ってコーヒーを飲んでた。
 優雅に。

「お兄ちゃん!何で起こすの!?昨日言ったよね!」
 お兄ちゃんを見たら怒りがこみ上げてきた。

「蓮音のことを思って起こしたんだけどな」
 私を思ってって……早起きは三文の徳?健康に良くないとか?

 なんだかよく分からないまま、私はお母さんが用意してくれてた朝食をリビングまで持ってきた。
 一人で食べるの寂しいもん。

 お父さんは休日なのに仕事で、お母さんは、昨日友だちと出かけてくるって言ってた。

「……来るからな」
 お兄ちゃんが唐突に呟く。
「何が来るの?」
「決まってるだろ、陸」

 驚きの声をすぐに発したかったけど……口の中に入ってたから、とりあえず飲み込んだ。

「陸先輩が!?」
「朝メール来たんだよ」

 ため息をつきながらコーヒーを一口。……哀愁帯びたお兄ちゃん……写真撮ったら売れるよね。
 そんなことしないけど。

「いつ来るの?」
「もうそろそろ来るだろうな」

 もうそろそろって……私、パジャマのままだ!
 あ、でも会わないよね……。

 あいさつくらいしなきゃダメかな……。