もうすぐ6時なのに……まだお兄ちゃんは私に気付かない。

 早く帰りたいのに!

 とりあえず……お兄ちゃんを引き戻そうと思って、お兄ちゃんを呼んでみた。

「お兄ちゃん」

 反応ナシ。

「お兄ちゃん!」

 近付いて呼んでも反応ナシ。
 ……耳元で叫んだら気付くかな……?

 お兄ちゃんの横にきて、耳元で一回呼んでも返事ナシ。

 大きく息を吸って、叫ぼうとしたら、お兄ちゃんがこっちを向いた。
 叫ぼうとためた空気が驚きで変なとこに。

「何やってるんだ?」

 むせる私にお兄ちゃんはプリントを片付けながら、背中をぽんぽんと叩いてくれた。

 びっくりした……。
 まつげ長いよ!

「何やってたんだ?」
「お兄ちゃんを……ケホッ待っコホッゴホッ」
「咳が止まってからでいい」

 ちょっと呆れ気味のお兄ちゃん。
 お兄ちゃんのせいなんだけど!?

「帰るぞ」

 お兄ちゃんは自分のカバンと私のカバンを持つと、生徒会室を出る。

「お兄ちゃん、カバン……」
 お兄ちゃんは待っててくれたんだろ?と柔らかく微笑むと、さっさと歩いてく。


 ……な、何で顔が熱いんだろっ。

 不意打ち!ズルい!