「あの子はそういうのに抜かりが無い子だから、すぐに直したでしょうけど……」
 確かに……。学校ではどうかしらないけど、きっちりした服装で歩いてるなぁ。
 お兄ちゃんじゃない人がきっちりした服装をすると……真面目通り越した感じになりそう。
そういう人もいるけど。

「蓮音、急ぎなさい」
「ふぁーい!」
 頬ばったまま返事をすると、鞄を持って玄関に急いだ。
「置いてくわよ〜」
「待ってー!」
 って私を置いてったら行く意味ないよ!
 おニューのローファーを履こうとすると、中に何かが入ってた。
 取り出すと、小さな袋。
 ……何で靴の中に!?
 開けてみると、シルバーピンクのイルカのストラップ。
 お兄ちゃんだ。色違いがお兄ちゃんのケータイについてたもん。
 何で直接くれないかなぁ……。

 お兄ちゃんらしいって言えばらしいけど。

 蓮音はケータイを取り出すと、飛夜からの入学祝いのストラップをつけた。