「その人しかしてなかったんですか?」
「ああ。薬になんてな…」

 薬……?……麻薬?

 私が亮先輩の顔を見ると、しまった。という顔をした。

「……誰にも言うなよ?」

 必死そうな顔なんだと思うんだけど……コワい。慣れればコワくないんだろうけど……会ったばっかりだしね。

 気圧された感じで頷くと、辺りを見回してから止まった。
「薬のことは俺らしか知らねぇんだ」

 確かに、そんなことがあれば私たちの耳にだって入るし、入学する人だってここを選ばないはずだもんね。
 1人のコトでも学校自体に悪いイメージを与えるから。

「つーか、俺と一部の教師と生徒会くらいだ」

 何て言おうか悩みながら頷くと、何かを思い出したようにあー。と言いながら眉間にシワを寄せた。

「……副会長も」

 ……って、待って。亮先輩と陸先輩とお兄ちゃんと先生たちだけ……?亮先輩たちじゃなくて?亮先輩単体?

「さっきの人たちは……?」

「……あいつらは知らねーんだ」

 じゃあ……なんで?退学する理由が無いよね……?

「退学の理由何にしたと思う?」

 ええっと……うーん……想像できない……。