「Aにいると思うから……呼んできてくださらない?」

 私が!?
 明君を見ようとしたら、いなくなってた。逃亡……。

「えっと……」
「大丈夫。噛みついたりしないから」

 そりゃあ噛みつくなんてあり得ないけど……でも……でも、梨子先輩急いでるらしいし……。

「分かりました……」
「それじゃあお願いね?金髪のが亮よ」

 私は力なく返事をすると、2A教室へ向かった。


 2A教室に近づくにつれて、なんで私が呼びに行くのかが分からなくなってきた。
 でも……呼びに行かなきゃいけないもんね……。逃避なんてしてられないや。

 そういえば、もうみんな部活へ行ったのか人があまりいなくなっている。
 大人数にジロジロ見られないから、すっごく楽。

 やっぱり必要な時以外は休み時間に教室の外にでるのはもう止めよう。
 帰るのもこの時間帯を狙って……。

 って考えているうちに、もう2A教室の前に来ていた。
 運悪く教室のドア全部が閉まっている状態。


 私はドアの前に立つと、深呼吸をしてドアに手をかけた。