何?何その笑顔!
 小さい頃から一緒にいて無駄に整った顔には馴れてるけど、ちょっと……ね。
 ……ってそんなことはいいんだ!

「いくら兄だからって妹の部屋に無断で入らないでよっ!」
 私は頬をふくらますと、そっぽを向いた。
「別に見られたらヤバいものなんかないからいいだろ?……あるのか?」
「ないよ!」
「ならいいだろ」

 うっ……バカにした笑い方されてるっ!

「思春期の妹の部屋に入るなんておかしい!」
「何が?」
「何がって、本当の…」

 ヤバッ……やっちゃった……。
「……ぁ、時間!出てって!早く!」

 お兄ちゃんを部屋の中から追い出すと、ベッドにダイブ。
 私のバカ。さっきのは禁句だよ……。
 本当の兄妹って思わないと……ねぇ?
 あの無駄にカッコいいお兄ちゃんと暮らせないよ……。
 別に一緒に暮らさなくなったらお兄ちゃんって思わなくなるわけじゃないよ?
 義理でもお兄ちゃんはお兄ちゃんだもんね。
 それ以上もそれ以下も……あり得ない。

 もし、もしだよ?私とお兄ちゃんが全然知らない赤の他人で……付き合うなんて有り得ない。
 次元が違いすぎ。

「って何考えてるんだろ!?」
 私は急いで新しい制服に袖を通した。