「蓮音、今……」
「お、お兄ちゃん、き……奇遇だね!」
「奇遇って……ここ蓮音の教室だろ?日本語の使い方が間違ってるぞ」

 墓穴掘ったー!!
 私のバカ……。計画実行する前にこんな……。
 でもっ!あきらめないもん。

「な……何しに来たの?」
「何がいいんだ?」
「誰かに用事?」
「おい」

 いい感じ!……?どうやって逃げるかが問題だよね……。

 ちょっと後ずさってみたら、お兄ちゃんが近付いてきた。
 威圧感たっぷりで。

 助けてー!

「凜歌ー……あれ?」

 凜歌がいない。

「あっちにいるぞ」

 お兄ちゃんが指さした方をみると、凜歌と陸先輩と明君が教室の後ろにいる。

 そうこうしているうちに、後ずさっていた私は窓側の壁に行き当たった。

「なにが、お兄ちゃんのはいいんだ?」

 お兄ちゃんが私の顔を手でサンドイッチ。私の顔をプレスするか、引っ張る気だ!
 お願いだから笑顔はやめてー!こわいから!

「えっとー」
「五、四……」

 なぜかカウントしだしたお兄ちゃん。
 どっち!?

 プレスかひっぱりどっち!?