『ちょっと……ウザイんだけど?』
『そっちの方がうざいっつーの』


「なんて……言わなさそうな言葉で」

 私が考えた二人の気持ち。
 我ながら……フツーすぎた気がする。

「確かに思ってそう!」
「次俺〜!」

『私のドーナツ食べたでしょ?』
『俺のヨーグルト食っただろ?』

 食べ物の恨みはコワいっていうのを表現したらしい。明君が自信ありげに言った。

「絶対言わないな!」
「……あははは」

 ……凜歌はともかく……お兄ちゃんは言う。昨日もプリン食べたら笑顔で言われたもん!
 別にプリンくらい……。


「じゃ、俺な」

 陸先輩が自信ありげにニヤッと笑う。
 陸先輩がニヤッと笑うのけっこうコワい。クールそうな顔に微笑はあやしく似合う。


『浮気……したでしょ?』
『おまえこそしただろ?』
『顔に書いてあんのよ!』
『おまえこそ!』
『『浮気もの!』』


 やばい、これは……痴話喧嘩!?

「アハハハッ!」
「ヤッベーさすが兄貴!」
「だろ♪」

 私と明君が腹を抱えて笑っていると、陸先輩が私の肩を叩いた。

 前を見ると、お兄ちゃんと凜歌がさっきの戦いの顔のまま私たちの前に立っていた。

 ひーっ!