普段はすっごい元気な私だけど……低血圧で寝起きは最悪。
 今日は一段と起きたくない。
 だって……入学式だもん。

 起きたくなくても、私を放って置いてくれないんだよね……。
 七時。
入学式は八半からだから……そろそろ起きる時間。
 だけど私、如月蓮音(きさらぎれんね)は夢の中でペットの犬、メリと追いかけっこ。
『待って〜メリー』
『ワンワンッ』
 まるで追いかけっこをするバカップル。私は何がしたいんだろ?

「蓮音」
 声がしたと思うと、急に辺りが暗くなってメリが誰かにさらわれた。
「起きろ」
 声がまたしたかと思うと、息ができなくなった。
 く……苦しい……。
 死ぬっ!

 飛び起きると義兄の飛夜がベッドの横に座っている。学ランの前全開で中に着ているカッターシャツもしわくちゃ。
「お兄ちゃん!勝手に人の部屋に入らないでよ!」
 義理とは言っても兄だからお兄ちゃんって呼んでる。
「やっとで起きたな、低血圧眠り姫。」
 そう言うと私の頭をぽんぽん叩いた。