私が目を逸らすとお兄ちゃんが私の前までやって来た。
 あっ、机に頭に浮かんだ字を書いたんだった!百パーセント間違ってる……。
 慌てて机の文字を隠すとお兄ちゃんが怪しく笑った。

「サラ、蓮音を押さえてくれないか?」
 さ…皿?
 バカな考えを巡らせていると、後ろから誰かに引っ張られた。
 誰か知らないけどやめて〜!

「……」
「何々?ごがつはえ?」
「五月蠅い(うるさい)って……お前、馬鹿より難しいだろ……何でバカは反対に鹿馬って書いてるんだ?」
「カバだな。バカの反対はカバ」
 中学の時にお兄ちゃんに漢字書けないのをバカにされたから、難しい漢字を書けるようになろう!って思って……五月蠅いを書けるようになったんだよね。

「私は書けないわ。この字」
 振り返るとブロンドの髪に碧の瞳の外人さん。
「こんにちわ」
 すっごい美人さんだ!
「こ……こんにちわっ!」
 何か緊張する。異文化交流?

「私はサラ。よろしくね、蓮音ちゃん」
「よ……よろしくお願いします!」
 優しいほほえみがっ!すっごくいい人そうだな。