「切れ長の目のヤツ見なかったか?見た目クールそうな」
「切れ長っていっぱい……」

 あの人……切れ長な目じゃなかった?
「あっ……さっきあっちで見た」
 キスシーンを。何て言えない。それは言えない。
「また女と一緒か?あいつ……」

 お兄ちゃんの知り合いかぁ。なーんだ。
 ……余計にヤバいんじゃない?お兄ちゃんの知り合いってことは……会っちゃったりして。
 あ、別にあっちは私のこと覚えてないだろうし……ただの目撃者Aだもん。
 もし覚えてたら……?
 そこは考えないことにしよう。

 ちょっとした結論に行き当たって、ふと気付くとお兄ちゃんの顔が近くにあった。

「ななっ、なに?」
「顔赤いぞ?熱でもあるのか?」
 私のおでこにお兄ちゃんのおでこがぶつかった。