自分で言うものなのだろうか…?




「宇佐美先生、向日葵顔真っ赤だよ」




拓海が呆れたような顔で言った。





顔真っ赤…?




恥ずかしい、




顔真っ赤なんだぁ…





「俺の向日葵を誘惑しないでくださいよ…」




小さい声ではあったが確かに聞こえた。






拓海…





聞こえなかった事にしよう。






「あははは、ごめんな?拓海。」






「じゃ、練習開始って言いたい所なんだが…今日はミーティングだけやったら終わりでいーや」




宇佐美先生はそう言った。
「…なんかごめんな?向日葵」



帰り道で拓海があたしに言った。




「なんで謝るの?」




2人で自転車を押して帰った。





「いや…なんかさ…」





「拓海は悪くないでしょ?それに元気がない拓海は拓海らしくないよ?」





拓海とあたしじゃかなりの身長差がある。




だからついつい見上げることになる。





「あははは、そうだな?あと…」





「向日葵」





あれ…?





この声…。





「お兄ちゃーん!」





玄関で待っていたのはお兄ちゃんだった。






「今日は早いんだね、どうしたの?」






「拓海お帰り、そして向日葵を送ってもらってありがとう」






お兄ちゃんは拓海にそう言った。
あたしは無視だ。




珍しい…。




お兄ちゃんがあたしを無視するなんて…





どうしたんだろう…?




「あっ、日向くん…ただいまです」





「じゃあね、向日葵」





「じゃあまた明日ね。バイバイ拓海」






拓海は手を振ってくれた。






なんだか元気がないみたい…






どうしたんだろう?







「おかえり、向日葵」






「ただいま、お兄ちゃん」

「なぁ?向日葵」




「ん?なぁに?お兄ちゃん」





「あんまりフラフラするなよ?」





お兄ちゃんはそれだけ言うと家の中に入っていった。






どうしたんだろう…?






まぁいっかぁ!





ドアを開けた。





「ただいまぁ〜」




「おかえり」





お母さんが出迎えてくれた。
「部活どうだった?拓海くんに迷惑かけなかった?」



お母さんは口うるさく言った。




「今日はミーティングだけだったんだぁ〜、かけなかったよ!!ねぇ?お母さん?」




「なぁに?向日葵」




「お兄ちゃんなんで今日早く帰ってきたの?まだ3時だよ?」




お兄ちゃんのことを聞いてみた。





「さぁ、知らないわぁ〜。日向に直接聞いてみたら〜?」






お母さんも知らないみたい。






あたしは自分の部屋にいるお兄ちゃんのところへ行った。







(トントン)





お兄ちゃんの部屋のドアをノックした。






「はい」




落ち着いた優しい声。




「お兄ちゃん?入ってもいい?」




仕事中だったら悪いので聞いてみた。




「いいよ。」




部屋から声がすぐに返ってきた。






(ガチャ)





「ねぇ?お兄ちゃん」


「ん?どうした?向日葵」




机にあるパソコンに向かっていたお兄ちゃんはあたしの問いかけに振り返った。




振り返ったお兄ちゃんはさっきとは打って変わって、優しいいつもの笑顔だった。




安心した。





「今日はどうして早いの?」






あたしはお兄ちゃんに聞いてみた。






言い方がちょっときつかったみたい…。







お兄ちゃんはちょっと悲しそうな目をして言った。







「俺、早く帰ってきたらまずかったのか…?」






あっ…






やばい…。
「違うよ?お兄ちゃん!あたしの言い方が悪かったよ…」




お兄ちゃんはまだ寂しそうな悲しそうな目をしたままあたしをみている。




「まぁ、とりあえず座りなよ?向日葵」





あたしはただ突っ立っていたのだ…。





お兄ちゃんはクスクス笑っていた。






あたしはベットに腰掛けた。






「あたしビックリしたんだよ。だから…」





お兄ちゃんは椅子から立ち上がってあたしの隣に腰掛けた。





「あははは…大丈夫だよ?向日葵。分かってるさ?向日葵の反応が可愛くてつい…」





さっきの寂しそうな悲しそうな目とは打って変わって、いつもの優しい瞳をしてあたしを見ていた。





あたしを見ている証拠にお兄ちゃんの綺麗な瞳にはあたしが写し出されていた。




「もぉ…ビックリしたよ…」
「ごめんごめん。今日はさ…早く切り上げたんだよ?向日葵が心配だったから…」




お兄ちゃんはあたしの頭に手を乗せた。





「し・ん・ぱ・い…?」





あたしは首を傾げながらお兄ちゃんに聞いた。






お兄ちゃんはクスッと笑った。






「向日葵はさ、無防備すぎるし…可愛いからだよ?」






拗ねた子供みたいな口調だったので思わず笑ってしまった。






「そんなことないよ?」






あたしには自覚がまったくなかった。







あたしはただ普通に生活を送っている。






「うーん…向日葵にはまだ早いか…」





お兄ちゃんは諦めたような笑顔をして言った。
「じゃあ、部屋に戻るね」




あたしはお兄ちゃんにそう言った。





「あぁ、じゃあな」





あたしはお兄ちゃんの部屋を出て、自分の部屋へと足を進めた。





部屋に置きっぱなしだった携帯が点滅していた。






メールだ。





誰からだろう…?






―未開封メール一件―





メルマガかなって思ってメールを開いた。





拓海からだ…





[よぉ実は向日葵に話さなきゃいけないことがあるからツムジ公園来れるか…?]




という内容のメールだった。





ツムジ公園かぁ…






あたしは私服に着替えてから携帯を持ってリビングに向かった。





「お母さん?ちょっとツムジ公園に行ってくるね?」





あたしが出掛けることをお母さんに告げるとお母さんは一言『分かった』と言ったのであたしは拓海の待つツムジ公園に向かった。

向日葵のうた

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