「どうする?
これで別れたらもう一生会わないかも
しれないけど。
絶対本気になんかなんないんだからさ。」

そんなこと関係ない。
私は…

一緒にいたい!!!

「まぁ、そっちがどうしてもって言うんなら
ぶつかってきたお礼として
私が一週間付き合ってあげてもいいけど。」

ここまで来ると
素直になれない自分に
イライラしてくる。

「んじゃ、これから俺達はカレカノ
ってわけで。
携帯出して?」

「なんで…?」

「番号とかアドレス…いいの?」

「あー。」

私、何してるんだろう。
一目惚れして、すぐ付き合うことになって…。

「そういえばあんた
名前は?」

「水瀬 空。
あんたは?」

「岡野 俊也。
俊って呼んでなっ!!!」

な、何なのこの人。
どこまでいっても分からない。
さっきまでのがウソみたい…

俊はさっきとはうって変って
優しい笑顔を浮かべていた。

「じゃぁ、空で。」

「分かってるよっ!!!
最初からそうするつもりだったし。」

この笑顔、
私にはウソにしか見えなかった。

さっきぶつかった時の
キツイ表情。

今の優しい笑顔。

【コワい】

一目惚れしたのは自分だけど
付き合うことになった今。
俊のことをそう思い始めた。

♪♪♪~

メールだ。
ディスプレイには加奈の名前があった。

『メール見てない??
あっ、もしかして面接中だったとか!?
とりあえず連絡ください!!!』

加奈からのメールを見て
今やっと返信していないことに気づいた。
そして私はバイトを探していたということも。
俊のせいで忘れていた。