寄り道する先が、お母さんの入院する病院だとは、言いたくなかった。
お母さんの病気を、認めたくないから。
誰かに話すと、その人の表情や言葉で思い知らされる。
だから、最小限の人にしか話していないんだ。
「ほら、帰んぞ」
涼雅はあたしのカバンをグイッと引っ張って、廊下を歩き出した。
…いつもだったら、『離してよ!』とか言えちゃうのに。
なんでだろ?
なぜかあたしは、涼雅の少し後ろを、涼雅についていくように歩いてしまった。
なんだか、それが心地よかった。
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