寄り道する先が、お母さんの入院する病院だとは、言いたくなかった。



お母さんの病気を、認めたくないから。



誰かに話すと、その人の表情や言葉で思い知らされる。



だから、最小限の人にしか話していないんだ。










「ほら、帰んぞ」



涼雅はあたしのカバンをグイッと引っ張って、廊下を歩き出した。








…いつもだったら、『離してよ!』とか言えちゃうのに。






なんでだろ?






なぜかあたしは、涼雅の少し後ろを、涼雅についていくように歩いてしまった。








なんだか、それが心地よかった。









.:*:..:*:..:*:..:*:..:*:..:*:.