「別に……なんでもないよ。つーか離して?動けないんだけど」
カバンを無理矢理引っ張ろうとするけど、なかなか動かない。
軽く押さえてるようにしか見えないのに。
「…つーかおまえ、どこ行こうとしてんの?」
涼雅はあたしのカバンの上に肘を乗せたまま、上目遣いで私を見つめる。
「どこって…部活だけど?」
「は!?おまえ部活なんて入ってんの!?」
「1年のときから入ってるよ!吹奏楽!トランペット一筋だっつーの!!」
へー…と、涼雅は溜め息にも似た返事を返し、髪を掻き上げながら俯いて言う。
「…で?そのトランペットやらは何時で終わんの?」
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