「・・・っ!!!」


思わず部屋を飛び出した。

母さんの驚いた声も気にせずに。

家を飛び出せば、すぐに彼女が見れる。

だって、家は隣なんだから。



だけど、ここまでずっとヘタレだった俺。

最後も上手く行くわけなんてなくて。

ドアから出た俺が見たのは、走りさる一台の紺色の車。

いつも隣の家の車庫にある、見慣れた車が走り去った。


あぁ、俺はいつも一歩が遅いんだ。



「なんで行っちまうんだよ・・・!!」



悔しくて、家の塀を殴りつけた。



「行くなよ。置いていくなよ、バカ・・・!!」

「だーれーが。」

「だからっ!!おま・・・・・・・・・・・・・・・は?」



突然かかった声。

俺は慌てて振り返った。

チュッパチャップスを舐めながら携帯をいじる一人の女。

さっきまで俺の部屋にいた幼なじみ。



「お、おま・・・。」

「早とちりしすぎじゃない?

引っ越すのは家族だけで、私行かないし。」



一気に脱力。

その姿を見て、携帯をぱたんと音を立てて閉じながらアイツはクスクスと笑った。



「安心した?」

「つーか、お前早とちりも何もそんな素振り見せなかったじゃねぇか・・・!!」

「だって、聞きたかったんだもん。さっきの言葉。」

「はぁ?」